令和2年度 編入体験記 筑波大学情報科学類

はじめに

筑波大学 情報学群 情報科学類 令和2年度(2020年度) 学群編入学試験の体験記です。

自分の通う高専は進学があまり盛んではないところで少し苦労したので、同じような環境の人の助けになれば幸いです。

 

スペック

出身 大島商船高専 情報工学

席次 1年次     たしか2桁 

   2年次以降   1桁をうろちょろ(あんまし覚えてないです)

TOEIC 675

まあ、多分スペックは受験生の中で最弱だったと思います。

試験について

数学1

(1) x/y+y/z+z/x=1で表される陰関数z=f(x,y)の偏導関数を求める問題でした。いわゆるやるだけの問題でした。

(2) 簡単な広義積分の問題でした。これもいわゆるやるだけの問題でした。

数学1全体ではミスがなければ10割取れてると思います。

数学2

(1) 3つの成分がそれぞれ文字a、b、cで表された2次の正方行列が直行行列となるようなa、b、cの組を全て求めさせる問題でした。少し計算が面倒くさいですがこれもいわゆるやるだけの問題でした。

(2) 1つの成分が文字dで表された3次の正方行列Bについての問題でした。

(2-1) Bの固有多項式を求めさせる問題でした。やるだけだと思います。

(2-2) Bが対角化不可能となるようなdの値を全て求めさせる問題でした。対角化可能であることの必要十分条件を分かっていれば計算が面倒くさいですがやるだけだと思います。

数学2全体ではミスがなければ10割取れてると思います。

情報基礎1

(1)  べき乗を求める再帰関数eについての問題でした。

(1-1) 関数eがx^nを求めるまでに四則演算が行われる回数をnを用いて答えさせる問題でした。

(1-2) 関数eを再帰ではなくfor文を用いて実装させる問題でした。

(1)はどれも簡単だったと思います。

(2) 多項式f(x)の係数を記憶する配列とxの値を引数として受け取り、xにおけるfの値を戻り値とする関数calcについての問題でした。

(2-1) 関数calcおよびその内部で呼ばれている関数eで用いられている四則演算の回数を答えさせる問題でした。

(2-2) 関数calcの漸近的時間計算量を答えさせる問題でした。

(2-3) 関数clacと同じ引数に対して同じ戻り値をより良いオーダーの時間計算量で求める関数を定義させ、その時間計算量を答えさせる問題でした。

(2)も時間計算量を求めることに慣れていれば、比較的簡単だったと思います。

情報基礎1全体では10割(だと思ってたけどこれ書いてる途中に全体に響くミスに気付いたので7割程度)取れてると思います。

情報基礎2

文字列の順列を求める再帰関数make_permutationについての問題でした。

(1) 自身自身への呼び出しを用いて定義される関数は何と呼ばれるか答えさせる語句問題でした。情報系なら誰でも知ってると思います。

(2) 関数make_permutationで文字列ABCの順列を求める際の実行結果を答えさせる問題でした。シンプルに面倒くさすぎる問題でした。なんならミスりました。

(3) 文字列ABCに対して関数make_permutationの内部で呼ばれている関数swapが実際には文字列が変化しない無駄な呼び出しである場合の回数を答えさせる問題でした。

(4) 関数swapの無駄な呼び出しが行われないようにどのように改善すれば良いのかを答えさせる問題でした。

(5) ABから始まる長さkの文字列に対する関数make_permutationの出力において、最初に右端にBが現れるのは何行目かを答えさせる問題でした。

情報基礎2全体では1割程度しか取れていないと思います。(1)以外多分すべて間違えました。いわゆる大爆死を致しました。

 

TOEICのスコアが675だったのでおそらく92点(100*(TOEICのスコア)/730という換算)、数学全体でおそらく100点、情報基礎全体でおそらく50点で合計で242点ぐらいだと思います。

結果

合格でした。ツイッターを観察したところ周りがかなりできているように見える中、大問1つが大爆死したので落ちたと思ってました。研究室で合否を確認し、雄たけびをひたすらあげていました。情報棟のみなさん、すみませんでした。

使用した参考書と勉強期間

数学

2年生の時にどこかしらの大学に編入したいと思い始めたのですが、授業の進度が他の高専と比べて著しく遅かったので後々困らないように数学だけは2年生の春休みから長期休業のたびに授業とは別に独学をするようにしてました。良くも悪くも独学が主になった分、色々と力がついたと思います。

 

微分積分の勉強は主に学校の教科書と編入微分積分 徹底研究で勉強しました。

4年の前期から長期休業に限らず学校の教科書で独学し始めました。

この時はまだどこの大学に行くか具体的に決めていなかったので筑波の情報科学類の範囲外である微分方程式も勉強してました。

4年の冬休みには学校の教科書では不十分だと感じたところだけを編入微分積分 徹底研究で勉強しました。表紙にも書いてある通り基本事項の整理と問題演習に最適だと思います。かなりオススメです。

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微分可能性あたりの理解があやふやになってるそこの君、この動画が凄くわかりやすいのでオススメです。筑波大学の照井 章先生の講義動画です。自分も凄くお世話になりました。

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 分野に限らずなにか教科書を読んでいてなかなか理解できないことがあればネット上にある大学の授業pdfや動画をあさってみると良いと思います。また、比較的簡単にお気持ちを理解したい場合にはヨビノリがオススメです。講師のたくみさんも自分も人知を超えた丸顔なので勝手に仲間意識を持っています。

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線形代数は4年生の10月ぐらいから編入線形代数 徹底研究で学校の授業ではやっていなかったところを主に勉強しました。一か月くらいかけてやりました。これも表紙通り基本事項の整理と問題演習に最適です。かなりオススメです。

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復習と演習のために編入数学徹底研究を冬休みに1週、試験3週間前に10日くらいかけて1週と合計2周しました。広い範囲の基礎的な問題が程よくまとまっていて復習にちょうど良いと思います。

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4年の冬休み明けから春休みの終わりまでは筑波の情報科学類の範囲ではないですが、志望校をこの期に及んで具体的に決めていなかったこともあってこちらの本で応用数学を独学してました。単純に面白かったですし、ベクトル解析で勉強したことは多変数関数への理解をより深めたので筑波の試験に完全に無関係ということはなかったと思います。

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過去問は試験の10日前ぐらいから10年分くらい解きました。

大体解けましたが、いくつか分からない問題があったのでその原因を分析して対策しました。その際に数学の先生にはとてもお世話になりました。

 

「あれ?5年の4~6月上旬は数学の勉強全くしてなくない?」とめっちゃ鋭い人は気づいたかもしれませんがその理由はTOEICの項目で説明します。

情報

3年生までコンピュータ部に所属していたこともあって最低限の能力は多分あるやろと慢心していたので試験の一週間前くらいまで特に対策していませんでした。一週間前からこちらの通称らせん本に目を通していました。過去問を2年分ほど試験3日前(遅すぎ)くらいに解いてみたところ全問解けたので「これいけるやつやん!!」と思ってました。そして大爆死致しました。

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簡単と思って舐めてかかると足元すくわれるかもしれないのでちゃんと対策をしておいた方が良いと思います。

TOEIC

4年の春休みの終わりにそろそろTOEICを受けようと思って調べてみると、受けられる最も時期が早いものが5月26日の試験で、その結果が返ってくるのが6月下旬であり、TOEICのスコア提出が間に合う大学が北大(願書とともに)と筑波(試験時に提出)ぐらいしか無い(他にもあるにはあります)ことを知り、この2校を志望校に決めました。どちらの大学も前からとても行きたいと思っていた大学だったので本当に不幸中の幸いでした。常識かもしれませんがTOEICは絶対に早めに受けてください。

 

3月28日くらいにほとんど何の対策もせずにTOEICの公式問題集で模試をしました。参考スコア範囲が確か255~405(うわぁ、低すぎ)ぐらいだったと思います。語彙力とリスニングの能力が絶望的であることが分かったので主にその対策をしました。あまりにも絶望的だったので4、5月は数学の勉強は一旦やめて学校では北大用に物理の勉強、家ではTOEICの勉強だけしていました。

基本的にabceedというスマホアプリ上で勉強しました。有料の一番上のグレードを利用したのですが本当にとても良いアプリでした(これはステマです)。

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 単語の勉強はabceed上で金のフレーズを使いました。通学中はずっと音声を聞いてました。730レベルのとこまでは全部覚えました。

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 試験の2週間くらい前から公式問題集を2冊分くらい解きました。一番最後に解いた公式問題集での模試の参考スコア範囲が525~690でした。そして本番では675でした。

2か月という比較的短い期間でも諦めずに頑張れば点数はかなり伸びました。もしも同じような状態に陥っている人がいるなら絶対に諦めないでください。希望はあります。

 

受験前日

電車と新幹線で筑波まで行きました。

新幹線のホームにノートPCを忘れるというファインプレーをしました。結果的に勉強時間を確保できたと思うのでファインプレーです。

移動中はらせん本を読んでました。

12時ごろに筑波に到着したのですがホテルのチェックインが15時からだったので、ホテルの近くにあったとんかつ屋さんでヒレかつとエビフライの定食を食べました。エビフライの身がたっぷりでとても美味しかったです。

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昼食を食べ終えた時点でスマホの充電が5%くらいしかなかったので、ストレス発散とスマホの充電を目当てに一人カラオケをしました。人生初一人カラオケでした。楽しかったです。

その後、ホテルグランド東雲にチェックインしました。

ホテルでくつろいでいると北大に提出したTOEICの公式認定証のコピーに不備がある(切り取り線の上側しか載せていなかったが上下両方必要だった)と北大から連絡があり、相談した結果コンビニのFAXで再送しました。北大を受ける人は気を付けてください。

試験時に必要な腕時計や文字や数字のない服を所持していなかったので、夕食を食べに行くついでにUNIQLOと百均がまとまってあるところに行きました。

試験前日に一体全体何をしているんでしょうかね。スペックだけじゃなくて試験前日のムーブも受験生最弱だったと思います。

夕食(1)はハンバーガーを食べました。

夕食(1)を食べた後に一旦ホテルに戻って少し休憩して試験会場を下見しに行きました。コンビニで夕食(2)を買ってホテルに帰りました。

ホテルに帰った時には20時過ぎでらせん本に目を通しながら夕食(2)を食べた後、シャワーを浴びました。

浴衣があったので浴衣を着て中二病ごっこを時間を忘れて楽しんでいました。

そうこうしているうちに22時過ぎだったので少しだけ数学に目を通して22時30分くらいにはベッドに横たわりました。

受験当日

家以外だとまともに寝れない体質をいかんなく発揮し、朝の3時に目が覚めてしまいました。試験中に眠くならないように狸寝入りを6時までしました。狸寝入り中は暇すぎて死にそうでしたが試験中は眠くならなかったので、うまく眠りにつけないとしても狸寝入りすることをオススメします。

朝食はホテルのバイキングでとりました。

9時頃に試験会場につきました。

みんな頭よさそうな雰囲気だし、カップルっぽい受験生がいたので凄く精神衛生上良くなかったです。

前日に買った腕時計の時間がずれており説明書を読みながら必死に調整をしていました。おかげで試験会場ではほとんど勉強できませんでした。

試験後は他の受験生の会話を必死に盗み聞きして周りの出来具合を予測していました。自分が会話を盗み聞きした人たちが受かって筑波を選んでいたら、感動の再開ができるかもしれないですね。

帰りも電車と新幹線に乗りました。

帰りの新幹線の中で1年次からの高専生活の振り返りを殴り書きしたのですがとても感慨深かったです。

振り返り

学力の低い高専に通っているため人よりも独学の量が多く苦労もしましたがその過程で数学の面白さに気づけたり、論理的な思考能力、理解力が伸びたと思います。

 

もともと進学が少ない高専ではありましたが、自分の代は特に少なく大学編入志望者はクラスで自分一人だけでした。クラスメイトはみんな凄く良いやつですがそれでもどこか孤独を感じていました。その孤独が生んだ謎の裏垢で編入志望の人とたまたまFFになったのですが勝手に精神的に助けられていました(気持ち悪いですね)。ありがとうございます。

 

研究室の教官やメンバーたちは編入の勉強に理解を示してくれて協力してくださいました。本当に感謝しています。

 

勉強時間が本当になかったため、4年生の頃から授業中は内職をよくしていました。先生方には色々とご迷惑をおかけしました。内職はしないにこしたことはないですが余裕がなければ腹をくくってやりまくるのも一つの手です。

 

筑波の情報科学類の試験には関係ないとはいえ応用数学を勉強したのはすごく良かったです。応用数学と呼ばれるだけあって工学や物理学によく応用されており面白いし役に立ちました。

 

詳しくは余談で話しますが北大の受験は辞退することにしました。そのため今日(筑波の合格発表の翌日)から時間に多くの余裕が生まれます。試験勉強とは関係なく前から興味があった数学、物理、化学、情報の色々な分野を楽しく勉強していきたいです。ワクワクが止まらねええええええ!!ってやつですね。

伝えたいこと

言われつくしていることですが、受験勉強は絶対に早く始めた方が良いです。また、志望校も早くからよく調べて早めに決めた方が良いです。

 

独学は凄く力がつくので別にうちの高専みたいに授業の進度が遅くなくても低学年のうちからバリバリ勉強していくことをオススメします。何より勉強は面白いです。

 

スマブラは強敵です。面白くないと自己暗示して沼から抜け出しましょう。

 

逆境の最中にあっても決して諦めずに奮闘してほしいなって思います。その努力は絶対にどこかで生きると断言します。

 

これを読んでいるまだ見ぬ後輩、勉強することが恥ずかしいっての捨てなよ、面白いよ

 

質問等があればとりあえずはコメントにください。そのうちTwitterの垢のリンクを張るかもしれないので張ってあればそちらにも質問投げかけていいです。遠慮せずにバンバンやっちゃってください。

 

余談

そもそも半分以上余談だったのでは?と賢い人は気づいてるかもしれませんがとりあえずここからが余談です。

 

北大の受験は辞退することにしました。

北大の方が第一志望だったのですが筑波の合格が決定した日に両親には試験会場への交通費がうくから北大は辞退してほしいと言われ(うちは泣く子も黙る貧困家庭)、先生にも情報系だとレベルはほとんど変わらないし東京にも近いから将来のこと(東大の院に行くかも)を考えると君にとっては筑波の方が良いと言われ、一日色々調べて考えた結果北大を辞退することにしました。

北海道や北大は好きなのでいつか金銭的に余裕があるときに旅行しに行こうと思います。待ってろ、北海道、愛してるぜ。

 

志望校が明確に決まっていないときはノリで東大行くか!!とよく言ってました。実際に数学は東大にも対応できるように勉強していました。自分の場合は英語や物理が明らかに勉強時間が足りなかったので諦めたのですが、低学年の頃からしっかりと勉強すればほとんどの全ての高専生に可能性はあると思うので後輩さん、挑戦してみてほしいです。

 

合格発表の日は喜びのあまり一日中奇行に走ってました。雄たけびをあげたり、謎のダンスをしながら研究室や教室を徘徊したり、クソみたいなモノマネをしたりしていました。なにをしても楽しかったです。努力して何かを得る喜びはえげつないです。理性を失います。気を付けてください。

 

試験の5日前くらいにプーさんのホームランダービーを友人に紹介されドハマりしてしまいました。"オウル、絶対に俺はお前のことを許さないからな"。オウルとは研究室で3時間にも渡る死闘を繰り広げました。ノルマ達成まであと一球のところで失敗することを5回繰り返し、受験でもギリギリ失敗することを暗示しているのではないかと凄く不安になってました。かわいいですね。

 

行きの新幹線に乗る際にノートPCを駅のホームに忘れたと言いましたが、厳密には新幹線に乗った瞬間に駅のホームのベンチにノートPCを忘れたことを天才なので気づいた上で出発する直前だったので戦略的に放置しました。ホテルにてプーさんのホームランダービーを徹夜でするという事態を回避した上、地元の駅という安心安全な場所に保管してもらう圧倒的ファインプレーでした。褒めてほしいですね。

 

TwitterのIDはgoethe_kafkaです。

編入の相談ならいくらでものるので気軽にDMしてください。